現在、トラック運転手が置かれた状況は極めて過酷なものになっています。過労死(脳・心臓疾患の発症)の労災請求・認定件数は平成17年から9年連続で運輸業・道路貨物運送業がトップです。
これには、規制緩和による物流業界における激しい競争と運賃収入の低化が背景にあることが指摘されています。貨物自動車運送事業者が、発注者、荷主(ユーザー)からの要求に無理に応えようとし、またコストを削減しようとすることが、トラック運転手の過重労働、労働環境の悪化を招いているのです。
トラック運転業務には、長時間労働のみならず、運転業務による独自の過重性(心身への負荷)があり、また、労災事故が荷積み・荷下ろし作業で多発しています。
トラック運転手の過労死や労災事故事案の解決に当たっては、トラック運転業務の独自の過重性と危険についての的確な理解と評価が重要です。
また、過労死等について労災認定・民事賠償を得るためには、労働時間の証明が重要になってくるところ、タコグラフ等の労働時間を裏付ける資料を迅速に収集し、手待ち時間・待機時間等の労働時間として争点になり得るところについて的確に主張立証するためには、経験と専門知識に基づくきめ細かな主張・立証が重要です。これらのことは、残業代の請求においてもあてはまります。
さらに、近時、トラック運転手の勤務条件については、実態が労働者であるのに傭車(業務委託)扱いとしている、歩合給制度が導入される一方で残業代が全く払われていない、償却制度と称して経費を全て運転手負担とする、事故における賠償責任を全て運転手負担とするなど、労働法に照らして問題のある事例が多く見受けられます。
私たちは、これらのトラック運転手の事例・事件について取り組んできた弁護士を中心として構成する弁護団です。弁護士各自が取り組んできた事件について、経験や専門的知識を共有し、議論をしてこれを高め、より多くの適切な事件解決に繋げるという願いから弁護団を結成しました。
また、当弁護団では、トラック運転労働の独自の負担を立証するために、産業疲労や睡眠の科学者・研究者とも連携をはかります。
前記の通り、貨物自動車運送事業者も規制緩和により厳しい経済環境に置かれており、そのような産業構造のひずみから、トラック運転手の過重労働をはじめとする労働問題が生じていますから、事業者の全てが悪質でいわゆる「ブラック企業」であるという訳ではありません。しかし、それでもトラック運転手に過度な負担が生じている中では、事業の健全な発展は望めず、いつか破綻が生じるでしょうから、やはり労働環境の改善は事業者にとっても不可欠の課題といえます。
私たちは、個別の事件解決を通じて、その積み重ねからトラック運転手の労働環境の改善を目指し、ひいては貨物自動車運送事業の健全な発展へのシフトに微力ながら貢献できればと考えております。
■NHKのニュースで私たちの取り組みが報道されました。(2015/4/30放送)
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20150430/4369351.html
私たちは、トラック運転手の過労死、過労自殺、労災事故、残業代の未払い、賃金の不払い等の事件に取り組んだ経験があり、また成果を上げてきた弁護士を中心として構成する弁護団です。
トラック運転手の労働事件には、その立証手段や法的評価について独自の論点があり、経験・知識を共有し、また議論をしてアイデアを出し合うことが有意義です。
そこで、過労死等に重点的に取り組んできた大阪の有志の弁護士を中心に、弁護団を結成しました。また、運転業務の負荷、荷卸し業務の負荷、仮眠や手待ち時間の評価などには、産業疲労科学の知見、睡眠衛生学の知見も大切になってきますので、産業疲労や睡眠衛生学の研究者とも連携をはかり、アドバイザーとして助言を頂きます。
なお、現時点では大阪の弁護士が中心ですが、事件によっては、全国対応も致します。大阪ではなくても、是非一度相談だけでもしてみてください。
※ 同じ自動車運転手であるタクシー運転手、バス運転手も運転業務の過重性としては共通するところがあります。
そこで、これらの自動車運転手の事件のご相談にも応じます。